「なにこれ」

クラス全員に配られたプリント。そのプリントには恋愛月間と書かれており今、彼氏彼女がいない人は学校側で決めた相手と1ヶ月間恋愛をしてもらうという内容だった。私が通っているこの学校は1、恋愛OK2、勉強やスポーツは程々に3、青春しようぜと言う変わった校訓にカップルになったら学校に報告、その後担任から誰と誰がカップルになったのか発表されカップルリストという紙に名前が追加され彼氏や彼女がいない人は必然的にバレる。そんな学校だとは知らずただ学校が近いからという理由で学校を選んだのをめちゃくちゃ後悔している。私のクラスの大体は彼氏か彼女がいる人間ばかりで自分達には関係ないと言う顔でプリントを見ている。このクラスで彼氏彼女がいないのは私を含めて三人だけだ。学校側で相手を決め1ヶ月間その相手と付き合わないといけないなんて何ていう新手の拷問なんだ。

「すごいね、このプリント。さすが国と恋愛研究所が協力して作った高校だよねー。恋をすると学力向上、性犯罪の低下、少子化を止める、などなど様々なことに恋愛が関わってくるからって、その研究の為の高校だもん恋愛しないなんて研究対象にならないから強制的に恋をさせるなんて」

「恋って無理やりするものじゃないと思うんだよね。その人のペースがあるわけだし…」

「まぁ、ね。でも、1ヶ月間のお試しなんだし気楽にやっていいんじゃない?」

隣の席に座ってる友人の松海歌音は苦笑いしながら私を励ます言葉をかけてくれた。歌音ちゃんは、私の幼馴染みの早見響也と付き合っている。入学してすぐに付き合いだしているのに今も初々しい付き合いたてカップルのような言動が多い。見ていて微笑ましい。歌音ちゃんのことを響也に彼女と紹介される前からクラスで何回か会話をしたことがあったが友達と呼べる関係ではなかったけど、響也のことで沢山相談をのるうちに親友と呼べるほどの中になった。私が惚気話を聞くの結構好きなんだということも分かった。


「今配ったプリントの該当者、長濱雪子、梶ひより、宮村晴人は今から多目的ホールに移動してもらいます。明日から恋愛月間がスタートになりますので今から恋愛月間の詳しい説明と1ヶ月間恋をする相手と会っていただきます。該当者以外の人は今日の授業はおしまいなので帰っていいですよ」

「…え、嘘でしょ。」

「うわ、なんか展開が早い。ひより大丈夫?」

「う、うん。何とか大丈夫。じゃあ、私行ってくるね」

がんばれ、と言いながら手を振ってくれる歌音ちゃんに手を振り返して多目的ホールに向かう。多目的ホールに向かう足取りはかなり重い。

ホールに着くと約20人くらいのせいとが集まっていた。結構いるんだなぁと思っていたが学校全体の生徒数から見るとかなり少ない、、。周りを見渡すと有名な生徒もちらほらいて驚いた。学園の王子様と呼ばれている間宮透くんや生徒会長の和泉理人先輩、副会長の菱田結弦先輩、学校一清楚で可愛いと有名な吾妻ほのか先輩達に彼氏や彼女がいないなんて信じられなかったからだ。

そして、暫くして学校の先生ではなく黒いスーツに黒縁眼鏡、猫背で髪がボサボサ白い白衣を着た研究員っぽい人が多目的ホールに入ってきて教卓の前に立ち話を始めた。

「では、人数も揃ってますので恋愛月間についての説明をさせていただきます。まず、期間は1ヶ月間スタートは明日の10月1日から始めます。終了は31日の放課後になります。31日の放課後にまた多目的ホールに集まって頂きます。そしてアンケートを書いていただき終了になります。終了後に別れるも付き合い続けるも自由になります。説明の後発表するお相手については事前にアンケートや身辺の聞き込みや性格など色々こちらで調べて一番相応しい相手を決めましたのでご安心を。非常に素晴らしい組み合わせが何組かありますのでとても楽しみです。おっと、失礼。恋人になって1ヶ月間はこちらは一切関与致しません。ご自由に恋人同士の時間を過ごしてください。あ、ですが何も恋人らしいことをしないで終わってしまう場合もあるだろうと思いますのでこちらで考えた恋人らしいミッションをプリントにまとめましたので必ず挑戦して下さい。説明は以上です。意見は面倒なので聞きません。それでは、お相手の発表に移らせていただきます。発表は、先生方宜しくお願い致します」

説明を終えると研究員っぽい人はそそくさと多目的ホールから出て行った。
聞きたいことは山ほどあったけど、今は相手が誰なのかがとても気になるので追いかけようかと思ったけどやめた。

「では、発表をしたいと思います。では、1組目は2年3組の宮村晴人くんと3年5組の吾妻ほのかさん。呼ばれた2人は入口のそばにいる先生からプリントを貰って帰って下さい。では、2組目…」

次々に呼ばれていく名前にいつ自分の番なのかとヒヤヒヤしながら待つ。同じクラスの宮村くんは学校一の美少女吾妻先輩とか凄すぎるし、4番目に呼ばれた同じクラスの長濱さんは学園の王子様間宮くんでイケメンをゲットしたと周りの生徒達が呟いていた。確かに間宮くんはイケメンだ。彼氏がいる女子からも支持を集めてる。そうして次々と呼ばれていく中中々呼ばれないなぁと周りを見ると人数がおかしいことに気づいた。

「では、最後の1組になります。最後の1組は3年2組の和泉理人さんと同じく3年2組の菱田結弦さん、そして2年3組の梶ひよりさん。」

一人余る人数だということに気づいた時、先生から3人の名前を呼ばれ困惑した。

「え、ま、待って下さい!何で、3人何ですか?!恋人同士って普通2人じゃ…」

「それは、僕もそう思いました」

「俺も同じく」

意見した私の言葉に二人が賛同してくれた。三人で恋愛するなんて無理だ。このまま三人で反論をしていけば恋愛月間参加しなくて済むかと思った時、先程出て行った研究員っぽい人が多目的ホールに戻ってきた。

「普通じゃつまらないだろ?それに奇数だから1人余るからさー。」