カクテル紅茶館の事件簿録


香りにそぐわずカップの中には薄いオレンジ色の水色がたっぷりと収まっている。

カップを持ち上げれば水面が揺れてそれはそれは美しい。

そして香り。

それまでも立ちのぼる湯気と一緒に広がっていた香りが、それでもカップを持ち上げたことによってより強く脳を刺激する。

そうなるともう限界!

私は可能な限りゆったりと、だけどついついいつもよりも大きな口で、ついにその味を噛み締める。

「おいしっ!アツっ!アッツ!」

「……」