カクテル紅茶館の事件簿録


次に、ヌイの周囲を見渡す。

特に歩みを止める原因となり得るような障害物は見当たらない。

そして、一度外した視線を再びヌイに戻す。

と、視線はある一箇所に引き寄せられた。

私がヌイを見ているのと同じように、ヌイもまた何かを見つめている。

辿ってみるとその先には私と同い年くらいの女の子がいた。

でもまさか、ヌイが女の子を見るためだけに立ち止まるとは到底思えない。

でも、ヌイの視線の先にはその女の子しかいない。

「可愛いな」

『ヌイ』

そう呼びかけようとしたほんの先にヌイが声を発した。