そんなことを思いながら俺も前を向き、信号が青に変わるのを待つ。


「私、思うんだけどさ。」


チラリと見ると、どうやら俺に話しかけているようだった。


「何が。」


「君、半袖寒くないの?見てて寒いよ。」


そいつはそう言いながら、自分の腕をつかむ。


「別に。」


そいつを見ずに言ったが、その言葉が嘘か本当かは、俺自身が一番知っている。


さっき寒って言ったのに、何を意地張ってんだ俺。


自分自身に呆れながら、横を見ると、そいつはふふっと笑っていた。


「何笑ってんだよ。」


まるで心の中を見透かされたような気分になる。


「ふふっ、何でもないの。寒さに強いんだね。アタシなんてマフラーしようか悩んだくらいなのに。」


その言葉に耳を疑った。