過剰な期待されても応えられないです。……今は。


「受け取ってくれますか」


手紙を彼に差し出す。

その手が、震えてしまう。


「ありがとうございます」


返ってきたのは、落ち着いた低い声。

顔をあげると、小さく微笑む彼がいた。


(……笑った)


わたしの手から、彼の手へと、手紙が渡る。


その手紙を読めば、

わたしの気持ちがあなたに伝わる。


「僕は、園原(そのはら)。園原カズヤです」


そのはらかずやくん。


「すみません。急いでるので、今日はこれで」

「あ、はいっ……!」

「では、また」