横山のちょっとよくわからないフォローのおかげで少し元気が出た。
それでも園原くんのことを思い出すとため息が漏れる。
図書館に来なくなったのが、手紙を渡したあとってのが引っかかる。
避けられているとしか思えない……。
恋をするとこんなにもネガティブになるの?
「あ、横山」
「おう」
「……もう帰るの?」
「今日の部活中止になったんだ」
ああ、だからか。
サッカー部の横山は、いつもなら、こんなにはやく学校出るわけないもん。
「……本当に濡れて帰るの?」
「もちろん」
もちろんの意味がわからないよ。
「結構降ってるけど」
「かかってこいやあ!」
「雨になに言ってるの」
「お前は濡れないように気をつけて帰れよ」
「……うん」
(途中まで入れて行ってあげようかな、)
靴を履き替え、横山の方を振り返ると――。
「横山くん傘ないの?」
「一緒にかえろー! あたしの傘入って」
女子に囲まれていた。
よかった。
これで濡れずに済むね、横山。


