「!」
そして、その高桐先生の言葉に、少し目を丸くする市川。
そのまま否定するかと思っていたら、次の瞬間市川は、高桐先生から目を逸らして言った。
「…だったら何?ここで説教でもするつもり?」
「うーん…そうしたいとこだけど、今はやめとくよ」
「!…え」
「授業が遅れちゃうし。それに君もこの場所でなんて嫌だろ?後で隣の空き教室で待ってるから、おいで」
高桐先生はそう言うと、ふいにあたしに目を遣って、繋いでいた手を離す。
そして、「席に戻っていいよ」なんて優しく言うから、あたしは戸惑いつつもそのまま自分の席に足を運ばせた。
制服のことも、俺がなんとかする。と、その言葉を残して。
「…はい、じゃあ遅くなったけど、授業始めるよー」
…席に到着すると、高桐先生がそう言って、授業が開始される。
あたしは高桐先生の言う通り、教科書を開きながら…こっそり、市川に目を向けてみた。
……めんどくさそうな顔をしている、市川の顔。
後で空き教室にって、でも、市川だったらサボって行かなそう。
あたしはそう思うと、少しだけ安心した心で今度は高桐先生に目を遣った…。
…………
それから短い数学の授業が終わって、その後のSHRもやっと終わった。
あたしは仕方ないから体操着のまま、帰る準備をして、ふいにまた市川に目を遣る。
…これから、高桐先生が待ってる教室に…行くのかな。どうなんだろ…。
そう思って、物凄く気になっていたら…
「ね、ね、日向さん!」
「え…え?」
その時。ふいに、後ろの席に座っている女子生徒から、突然話しかけられた。
こうやって誰かに声をかけられるなんてすごく久しぶりだったあたしは、その声に戸惑いながらも振り向いて。
市川の行動が気になりながらも…その子に耳を傾ける。
するとその子は、半ば興奮したようにあたしに言った。
「さっき、数学の時に高桐先生と一緒に来たでしょ!?」
「あ…うん。来たけど…」
「その時、何気に手繋いでなかった?羨ましー!」
「!」
その子は純粋にそう言うと、笑顔であたしを見る。
…あ、そう言えば、高桐先生って女子に人気あるんだよね…。
その言葉にあたしはそう思いながら、その子に言う。
「や、でもあれは、先生が勝手に…」

