高桐先生はビターが嫌い。


…犯人の名前を言ってしまったら、高桐先生は市川を怒るに決まってる。

そりゃあ今回はさすがに傷ついたけどさ。

自分が望んでいない展開には…発展させたくない。

あたしがそう思いながら言うと、高桐先生が納得いかない様子で言う。



「けど、このままだと、卒業するまでずっとこれが続くのかもよ?」

「それはっ…その可能性が高いですけど」

「だったら言ってよ。俺じゃ力になんない?」

「!」



高桐先生はそう言うと、あたしの顔を覗き込む。

わ、顔近いって…!

そう思って、ふとあたしが顔を背けると…高桐先生が残念そうに言う。



「そっか…やっぱ、そうなのか…」

「あ、ちがっ…じゃなくて!」

「じゃあ誰?遠慮なく言ってよ。俺なんとかするから。口だけで終わらしたりしない、から」



そう言って、高桐先生は真剣な表情であたしの言葉を待つ。

その言葉と表情に、一方のあたしは思わずドキッとしてしまって…やがてそれを隠しながら、観念したように言った。



「…わ、わかりました。じゃあ言います」

「うん。誰?」

「クラスメイトの、市川英里です。あたしは、あの子にずっと前から嫌がらせを受けているんです。その仲間たちも一緒に」

「!」



だから今回もきっと、市川が黒幕です。

あたしがそう言うと、高桐先生は…何故か少しの間、何も言葉を発することなく黙り込んでしまう。

…ん、先生…?

そんな高桐先生に、あたしが隣に目を遣ると…