高桐先生はビターが嫌い。


その声に、あたしは思わずうつ向く。

…ほんとに、授業ほっぽり出して来ちゃったんだ…高桐先生。

あたしがそう思っていると、やがて高桐先生が言った。



「…で、何があったの」

「え、」

「チャイム鳴った瞬間、教室飛び出してっちゃうなんてさ。しかも今、なんかすごい涙目…だし」

「!」



そう言うと、高桐先生は。

まだ涙のあとが渇いていないあたしに目を遣る。

そんな高桐先生の視線に、あたしは思わず顔を背けて。

だけど、言わないまま…というわけにもいかなくて、高桐先生に言った。



「…実は、制服が…」

「え、制服?」

「……こんなんなっちゃって」

「!?」



あたしが高桐先生にその制服を見せると、一方それを見た高桐先生は、驚いたように目を丸くする。

そして、「どうしたのこれ!!」と聞くから、あたしは正直に話した。



「…切られちゃったんです」

「や、それは見りゃわかるけどさ…!」

「っ…あたしがいけないんです。ちゃんと保管、出来てなかったから。だから、簡単に切られちゃったり…するんです」

「…保管って。でもそれって…」



高桐先生は、あたしの言葉を聞くと、難しい顔をして…あたしの顔と、その制服を交互に見遣る。

そして、少し考えると…あたしに言った。



「誰にやられたか、わかってる?」

「……言えません」

「言えないってことは、わかってるんだ?」

「…犯人捜しはやめて下さい。あたしが傷つきます」