高桐先生はビターが嫌い。


そっか…残念だな。


沈んだ声でそう言うと、高桐先生は。

深いため息を吐いて、あたしから目を逸らす。

…幻滅?

って、そりゃそうだよね。そんなふうに思われても仕方ない。

しかし、そう思っていると…高桐先生が言った。



「…じゃあさ、せっかくだから話を聞かせてよ」

「話…?」

「何で嘘まで吐いてこんなことしたのか」

「!」



そのいきなりの言葉に、あたしは少し戸惑う。

“何で”?

そんな理由…みっともなくて言えるわけない。


だけど、そう思うと同時にふいに脳裏を過る。

この前、コンビニに行く途中で後藤先生に言われた言葉が。



『心配しなくたって平気だよ』

『え…』

『陽太は、そんなことで奈央ちゃんを怒ったり、ましてや嫌いになったりなんてしないから』

『!』

『きっと、誰よりも親身になって聴いてくれるはずだよ。“何でそんなことしてるのか”って』



「…!」



その言葉を思い出して、ふと高桐先生を見遣る。

そんな高桐先生は、今ここに「教師として」来てるのか、それとも高桐先生の「性格」がそうさせているのかはわからないけれど…やがてあたしは目の前の高桐先生に言った。



「…わかりました」

「!」

「理由を話しますから、上がって下さい」