高桐先生はビターが嫌い。


…と、早速名前を言いながら、その生徒に近づく高桐先生。

わ…それ、なんかやばい。

あたしはそう思いながら、不安いっぱいで高桐先生の方に目を遣る。

そんなあたしの視線にはもちろんまだ気がついていない先生は、名前を呼んだその生徒と軽い雑談を一言二言くらい話して、次の生徒の名前を呼んでいく。

…ずっと、その繰り返し。

緊張しているわりには、やっぱり高桐先生は「先生」で、普段の様子とはまた違ったように思う。

…まだ数回程度しか会ってなかったけど。

そしてそう思いながら、ドキドキと緊張していると…いよいよあたしの前の席の女子が、名前を呼ばれた。



「葉月鈴さん」

「はぁい。…先生、“すず”じゃなくて“りん”ね」

「え。あっ、ごめん!」



と、目の前で、そんな何気ない会話が繰り広げられるなか。

…なんだか、ドキドキしすぎて倒れそう。

そう思っていると…やがて高桐先生が、あたしの顔に…視線を向けた。



「えっと…日向奈央さん」

「は…ハイ」



……うまく返事ができただろうか。

しかし、そう思っていると…



「…んっ!?」

「!?…っ」