高桐先生はビターが嫌い。


そう言って、担任の先生が教室に入ってきた時。

先生と一緒に、見覚えのある人物も入ってきた。

……いや、見覚えのあるなんてモンじゃない。

あたしはその人物の存在に気がつくと、思わずビックリして。

ドキッとして、気づかれないように顔を伏せる。



「…っ…」



何で何で?

なるべくなら気づかれたくないのに、あたしがこの学校に通っていることも知られたくないのに、担任の先生と一緒に入ってきたのは…

高桐先生…だった。



「はい、今日からね、私が皆さんの担任になります。ってことで。よろしくお願いします、」



そして、担任の先生は皆にそう言うと、クラス全員の顔を見ていく。

あたしと同様、一年と二年の時もこの先生が担任だった他の生徒は残念そうな声を上げていたけれど、先生に「なんだよ」と冗談ぽく言われて、軽く笑いが起こった。

けど、そんな皆の笑い声も、耳から耳へと簡単に通り抜けていく。

何だろう…なんかもう、今は前を向けない。下しか見れない。

そう思っていると、担任の先生が言った。



「えっと、そして、今日からこのクラスの副担任になる、高桐先生です」



先生がそう言うと、高桐先生が生徒に向かって軽く挨拶をする。

…緊張している様子の声。けどダメだ見れない。顔を上げたら、その瞬間にバレてしまいそうで。