高桐先生はビターが嫌い。

「…っ」



思ってもみなかった高桐先生からのプロポーズに、言葉よりも涙が先に出てきそうになる。

先生…手紙の返事をくれなかったのって、今のこのプロポーズがその返事だったからなんだ。

あたしはその言葉に、すぐに頷きたいけど…とにかく涙が溢れてきて言葉に出来ない。



「ちょ、大丈夫?」

「っ…だい、じょぶ…で、」



困らせてるのはわかってる。

自分でも、こんなに泣くとは思わなかった。

テレビドラマとか、映画とかで見るプロポーズのシーンって、泣きすぎだって思っていたけど…。

あたしはしばらくしてようやく落ち着くと、言った。



「嬉しいですっ…先生」

「!」

「今日とかも、本当は、突然来たのが迷惑だったらどうしようって、ずっと思ってたんで」

「迷惑なわけないじゃん。確かにビックリはしたけどね。っていうか本当に大丈夫?目真っ赤」

「ん、大丈夫です」



高校の時の高桐先生と言ったら、まだ新米教師で頼りない感じもあったのに。

まぁそれでも必死で教師をやってくれたから、あたしもお父さんとのことが無事に解決できたわけだけど。

だからプロポーズの返事なんて、1つしかない。



「先生…予想してないことを言うのはずるいです」

「え、」

「あたしも高桐先生と結婚したいです。…よろしくお願いします」

「!」



あたしが思い切ってそう言うと、高桐先生は安堵の表情を浮かべて、あたし達は微笑み合った。