高桐先生はビターが嫌い。

思わぬその高桐先生の言葉に、あたしは思わず反応する。

え、そうだったの?それは知らなかった。

会いに来てくれても全然良かったのに。

だけどあたしがそう言おうとしたら、高桐先生が言う。



「でも行けなかった」

「え、どうして…」

「………ん、まぁ…いいじゃん?それよりも、奈央が元気そうで安心したよ」



あたしは高桐先生が会いに来なかったその理由を聞きたいのに、先生にはぐらかされる。

いや、会いにいかなかったのはあたしも同じだし、お互い様なんだけどね。

でもいっぱい、我慢したんだ。

だけどこれからは、一緒にいられるのかな?

それとも…



「あのっ…」

「うん?」



怖いけど、でも一緒にいたい気持ちももちろんあって、あたしは不安に思っていることを口にしてみた。



「あの、高桐先生…今は、あたしのことどう思ってますか?」

「…え、」

「あたし正直、離れてから今の間もずーっと、高桐先生のことが好きです。好きだから帰ってきたんです。またすぐにシンガポールに戻るってこともありません」

「!」

「た、高桐先生は今…あたしのこと、どう思ってますか…?」



そう問いかけて、ドキドキ…ドキドキ…と、先生の返事を待つ。

怖いけど、ちゃんと聞かなきゃ…(梨華さんとの関係を知りたいし)。

だけど高桐先生が何かを言う前に、店員さんがあたし達が注文したカフェオレを運びに割って入った。



「お待たせしましたー。カフェオレホットです」

「…あ、どうも」

「ごゆっくりどうぞー」



…その瞬間、ほんの少しだけ、緊張感が和らいだ気がした。

だけど先生の方を見れずに、あたしは意味もなく自身のカフェオレに視線を落とす。

すると次の瞬間…高桐先生が、ゆっくり口を開いて言った。



「…………ごめん」

「…!」

「ちょっと、言ってる意味がわからないんだけど」



そう言って、少しだけ…目をぱちくりとさせる高桐先生と…目が合った。


「…え」