高桐先生はビターが嫌い。

と、はっきりそう言って…バチッと目が合う。

その視線に、思わず少し…驚いてしまうあたし。

あまりにも…一瞬、すごく寂しそうな目を…したから。



「…先生…?」



大丈夫ですか?

と、思わず一瞬、お父さんと一緒に行くのを躊躇って…先生の傍まで足を運ばせる。

でも、その時高桐先生が、悪戯っぽく笑って…



「…冗談だよ」

「!」



と、あたしの髪を乱すように頭を撫でて、そう言った。



「…行っておいでよ」

「!」

「よかったね、ほんとに。お父さんと一緒に居られることになって」

「…」

「先生は嬉しいよ、」



そう言って、あまりにも優しく笑うから。

あたしは、高桐先生のその笑顔を…信じてしまった。



「…あ、カレー温まったよ」

「!…ほんとだっ」

「…」



…だけど、あたしが高桐先生から離れたその直後。

先生の表情がまた、一瞬にして曇ってしまったことには気づかずに…。