「じゃあね」
「うん。当日は、迎えに行くよ」
それからは、お父さんとは他愛のない話をして、玄関で別れた。
引越しの手配も全部、お父さんがしてくれているらしく、それを聞いて改めて安心したあたしは、また逢えることが嬉しくて、お父さんに手を振る。
お父さんがマンションまで乗って来たのは、高そうな黒い車。
その様子を、別れたあともベランダから見ながら…また嬉しさを実感して。
その後は、再び引越しの準備を再開させた…。
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そして、それから数週間が経って、7月中旬。
今日は、出発前日。金曜日。
学校で、先生たちやクラスメイトにお別れの言葉や色紙を貰って、マンションに帰って来たのはいつもより少し遅い時間だった。
明日はいよいよ出発だから、高桐先生が「今日は俺が夕飯買ってくるよ」と言ってくれて…今は一人、部屋で待っているだけ。
家具も明日、引っ越し屋さんのトラックが取りに来るらしい。
…この部屋で過ごすのも、今日が最後になるのか…。
そう思っていたら…
「…!」
不意に、その時チャイムが鳴って。
すぐに、玄関まで行くと…そこには。
コンビニで、夕飯を買ってきてくれたらしい高桐先生がいた。
「おまたせ」
「…おかえりなさい」
高桐先生をいつものように迎い入れると、あたしは早速お弁当をあたためる。
あたしのはカレーで、高桐先生は冷やし中華。
高桐先生は自分の冷やし中華を開封しながら、言った。
「いよいよ明日になっちゃったね…引越し」
「…」
そう言うと、ため息を…吐くから。
あたしはお弁当が温まるのを待ちながら、冗談交じりで「寂しいですか?」と先生に問い掛ける。
だけど、先生は…
「そりゃあ寂しいよ」
「!」

