高桐先生はビターが嫌い。

…………


そして、その日の夜。

いつものように高桐先生と夕飯を食べながら、あたしは「これも無くなってしまうのか」とつい少し寂しく思ってしまう。

そう思うと…行かない方が…いいのかな…。

そうやって思ってしまうけど…



「…先生…」

「うん?」



今日はやっぱり、口数が少ない先生に、あたしは迷いながら声をかけてみた。



「…今日の、職員室で…言ってたことなんですけど」

「…ああ、お父さんのことね」

「えと、それ…」

「いいと思うよ」

「え、」



高桐先生はあたしの言葉を遮るようにそう言うと、真剣な…だけどどこか寂しそうな顔をして、言葉を続けた。



「俺は…日向さんから聞いて、知ってたから。日向さんの孤独とかね。それを考えると、日向さんは周りのこととか気にしないで、自分の好きにしたらいいと思う」



まぁ、確かに寂しいけどね、と。

そう言って、無理して笑うけど。

でも…先生つらそう。

だって今日は…あんまりご飯も進んでないみたい。

だけどあたしはそんな高桐先生の言葉を聞いて、少し安心してしまう。

…本当は、離れたくない気持ちは、あるけど。

でも、それよりも、今までの寂しさの方が、勝ってしまって。

「行きたい」って、本音はそればかり。

だって…この機会を逃すと、お父さんは…本当にあたしから離れていってしまう…。



「俺のことは、いいから。日向さんは自分のことだけ考えていればいいよ」

「…先生…」

「だって…ほら、こうやって今、一緒にいる事実は、消えないじゃん」

「!」



そう言って高桐先生が、頭を優しく…撫でてくれるから…。

あたしは高桐先生のその言葉に、ようやく決意した。

…お父さんに、ついて行こう…。