高桐先生はビターが嫌い。

そんなメッセージを目にして、ビックリして、辺りを見渡す。

…でも、周りが薄暗いせいで、そもそもよく見えなくて。

人影は…無い。たぶん。

だけど…その後ろ。

高桐先生が、さっきの場所を少し離れたところで見つめながら…何かに気が付いて、

一枚、スマホで写メを撮った。



「…何か撮ってます?」

「ん…いや、ちょっと」

「?」

「っつかね、星が綺麗だねー」

「!…あ、ほんとですね」



…もしかしたら。

あたしも、高桐先生と同じ。

騙されやすいのかもしれない。

その間も、あたしのポケットの中で鳴るスマホ。

…相手がコウマ君ならまだしも。

不気味な送り主からのメッセージは、止まらない。


…どこから?

いったい、あたしの連絡先…どこから流出したの…。

誰なの…。


綺麗な星に視線は向けているものの、あまり見えていないみたい。

しかもそのうち、高桐先生が「帰ろ」なんて手を引くから、

その手を離さずに、あたしも先生の傍に寄り添ってしまった。


…そのままで、いたかった…。

あたしは高桐先生がいい。高桐先生が好きだから。

他の人なんて、考えたくないから…。



「…どした?何か今日は甘えるね」

「…先生」

「ん?」

「もう一回、抱きしめて」

「え、な…きゅ、急に…どうし、」

「いま」

「いま!?」



そう言って、あたしは。

エレベーターの中。

高桐先生の肩に、頭を預ける。

多分ここまでは、誰にも見られていない…と思う。

本当なら、キスくらいして…ほしいんだけどな。

でもそれは、我慢…することにする。