高桐先生はビターが嫌い。

…………


「っ、ちょっと、離してよ!」

「!」


それから、トイレも通り過ぎて、ロビーに続く階段まで来た頃。

あたしがそう言って手を振りほどくと、コウマ君は黙ってその場に立ち止まる。

…だいたい今日はあたし、ただの人数合わせなのに。

そう思いながら、あたしはその気がないことを言おうとしたら…



「悪いけど、あたしはっ…」

「付き合うかもって、思ったかな?」

「…え?」



突如、そう言って遮られ、ふと目が合った階段。

そのいきなりの言葉に、一瞬あたしは言葉を詰まらせたけど…



「……思ってないよ」



少なくとも、あたしは。

その言葉を、あまり深く考えずにあたしがそう言うと…



「そかそか」

「?」



コウマ君はそう言って、少し笑いながら…自身のスマホを取り出す。

そして、頭の上に?を浮かべるあたしに…言った。



「…スマホ」

「え?」

「スマホ出して」

「…や、」

「いいからはーやくー」

「…」



…そう言って、コウマ君が急かすから。

その気は無いのに、黙って鞄から取り出してしまう。

でも、悪用はしてほしくないことを言おうとしたら…



「貸して」

「あっ」



その前に、まんまと奪われてしまった。



「ちょっと!勝手に…!」

「…」

「やめて、あたし好きな人いるんだから!」



しかし、あたしがそう言ってスマホを奪い返そうとすると…



「ハイ」

「!」