高桐先生はビターが嫌い。


「え、そうだったんだ…あ、じゃあ俺さっき酷いこと言っ…」

「それは大丈夫です。仕方ないですから。それより先生、開けてみて下さいよ」



あたしはそう言うと、高桐先生の反応が見たくて、その場で開けてもらう。

店員さんによって綺麗にラッピングされたそれは、高桐先生の手で丁寧に外されていって…

そしていざ箱を開けて中身を見た途端、高桐先生は「スニーカーじゃん!」と喜んでくれた。

俺、今のスニーカーボロボロなんだよね、と。

それはもう後藤先生が言っていたように。



「…気に入ってくれましたか?」

「もちろん!凄い嬉しい!ありがと、大事にするね、これ!」



高桐先生はそう言うと、箱から取り出したスニーカーをまた戻して、それを大事そうに抱えてくれる。

良かった、喜んでくれて。



「じゃあ先生、おやすみなさい」

「…」



しかし、高桐先生の帰る準備が整ったあと。

あたしがそう言って手を振ると…



「……俺が、篠樹には気をつけてって言ったのはさ」

「…?」



高桐先生が、ふいに、ゆっくり口を開いて何かを話はじめた。

その言葉に、手を振るその動きをぴたりと止めて、あたしは高桐先生の言葉に耳を傾ける。

…気をつけて、って…言ったのは?

すると、言葉を続けた高桐先生は…次の瞬間、あたしが知らなかった事実を口にした。




「…アイツ…すぐ奪うから。親友(ヒト)の彼女」

「!?」

「唯香もそうだった。だから、日向さんだけは奪われたくない」

「…唯香さん、“も”?」

「うん。唯香、も」



それって…いや、後藤先生と唯香さんが今付き合ってて、唯香さんが高桐先生の元カノだと知った時点で、それはなんとなくわかってたけど…でも…。



「アイツね、篠樹ね、今彼女とかいても関係ないから。今回は仕方なくても、今後はマジで、気をつけて」