高桐先生はビターが嫌い。

何とかして話せる方法はないのかな…。

佐藤先生はそう言うと、あたしの方に目を遣る。

だけど…あたしもお父さんと話せる方法なんて知らなくて。

もしも、電話をかけて…出なかったらショックだから…。

そう考えると出来なくて…だからずるずるとここまで来てしまった。

お父さんの話…大事な話であることは確かなんだけど、出来ればしたくないな…。

そう思って、あたしがうつ向いていたら…



「…まぁ、日向。今までやってきて、これも無理だったけど…」

「?」

「今回は大事なことだし、先生の方からも親御さんに三者面談のお知らせのプリントを早めに送っておくよ。それを見て、親御さんから日向に直接連絡するようにもお願いしてみるから」

「…はい」

「とりあえず、日向本人は就職を希望でいいんだな?」



はい。それで大丈夫です。

あたしはそんな佐藤先生の言葉に頷くと、やがて「教室に戻っていいよ」と言われてその場を後にした。



「…失礼しました」



少し沈んだ声でそう言って、あたしは職員室に背中を向ける。

…高桐先生、心配そうな顔してたな…。

でもあたしもまた不安が増えた。

…先生、お父さんに直接プリントを送るのか。

それでも今回も連絡が全く無かったら…コワイ。

お前なんかどうでもいいって、言われているようで。

いや、実際どうでもいいから連絡が無いんだろうけど。


…あ、そうだ。


あたしはふと歩く足を止めると、制服のポケットからスマホを取り出して高桐先生にラインをした。

しばらくは、もう…



“ごめんなさい。今日も夕飯一緒に食べられません”



送信、と…。