高桐先生はビターが嫌い。


あたしのそんな短い言葉に、「やっぱりか…」と言わんばかりに頭を抱える佐藤先生。

そうだよね。

先生たちもあたしの父親とまともに話したことがないわけだから、三者面談ともなると誰よりも来てほしいんだと思う。

だけど…



「実は、先生の方からも何度かしてるんだけど全く繋がらなくてね。日向に確かめたいんだけど、親御さんの番号はずっと変わってないんだよね?」



佐藤先生はあたしにそう聞くと、あたしの返事を待つ。

でも、はっきり言ってそれはあたしも自身が無い。

あたしは勇気がなくて、もう何年も電話なんてかけていないから…。

だからあたしは、佐藤先生の目を見ずに言った。



「…合ってると思います」

「そうか」

「…多分ですけど」

「…困ったなぁ」



あたしがそう言うと、ますます困ったような表情を浮かべる佐藤先生。

まぁ、あたしはきっと進学は出来ない…から、就職するしかないんだけどね。

そう思っていたら…黙って話を聴いていた高桐先生が、ふと口を開いて言った。



「…日向さんのお父さんって、どちらで働いていらっしゃるんですか?」

「ああ。〇〇の社長らしいよ」

「え、〇〇って飲料メーカーの!?めちゃくちゃ大手じゃないですか!」

「まぁな。だから忙しいのはわかるんだけど…」



全く連絡がつかないのはちょっとな…。

佐藤先生はそう言うと、頭を抱える。

するとまた、高桐先生が口を開いて言う。



「じゃあ、会社の方に電話して、繋げてもらうとかは…」

「何度もやったよ。でもそれも繋がったためしがない」

「忙しくてですか?」

「忙しいのか話したくないのかはわからないけどね」