高桐先生はビターが嫌い。

言葉を続けようとしたら。

不意にその言葉を遮られて、隣にいる後藤先生と目が合う。

…誰からって…



「…唯香さんですけど…?」



どうかしたんですか?

だけど、あたしがそう聞くも、後藤先生はまたふっと笑って…



「ううん、聞いてみただけ」

「…そう、ですか…?」

「うん」



また、そう言っていつもの笑顔を浮かべる。

聞いてみただけ?本当にそんな顔…だったかな。

なんか、もっとこう…いつもの後藤先生らしくないというか…。

…ていうか、唯香さんのことになると…後藤先生って…たまに。



「…さ、奈央ちゃん教室行きなよ、遅刻しちゃう」

「あ、ハイ」



表情が曇るの…何でだろ。

いや、付き合ってるんだし好きな人だから…確かにそういう日も、あるんだけどさ。

実際、今のあたしも…そうだし。

あたしはそう思いながら、後藤先生と別れたあとも…最後にもう一回だけ高桐先生の方に目を遣ってみた。



「あ、陽太せんせぇー!」

「おはよー。っつかその呼び方やめれ」


「…」



…今日は夕飯、どうしようかな…。

できればしばらくは、遠ざかっていたい。考えたくない。


だって…


高桐先生があたしと夕飯を食べる本当の理由。

それが、まだ確定ではないけど…

後藤先生と唯香さんのツーショットを見たくないからなんじゃないかって…気が付いちゃったから。


あたしはそう考えたあと、また高桐先生から目を逸らすと…今度こそ校舎内に入った。