高桐先生はビターが嫌い。


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月曜日の朝。

青天の空の下で、高桐先生と女の先生が、門のところに立って生徒達と笑顔で挨拶を交わす。

唯香さんが高桐先生の元カノだと初めて知った翌日の日曜日…つまり昨日は久しぶりに、高桐先生じゃない別の男の人とデートをした。

だから、昨日も今度はあたしから「夕飯は一緒に食べれません」と断って…。

出来ればしばらく、高桐先生と顔を合わせたくないけど…今日に限ってこうやって門の前にいるって…そんなのアリなの?

…唯香さんは、気にしなくていいって言ってくれたから、それだけが救いだけど…。

一方の高桐先生はどう思っているのか。

たまに会いに行くくらいだし、不安だから…

あたしは、高桐先生には申し訳ないけど、今日は女の先生の隣を通ることにした。

門では、向かって左側に高桐先生がいて、右側に女の先生…杉野先生がいる。



「…よし」



…あたしはやがて心に決めると、早速その門に向かって歩き出した。

…ドキドキ…ドキドキ…



「お、おはようございます、」

「あ、おはよう日向さん」



あたしが杉野先生に声をかけると、杉野先生はいつも通りにそう言って挨拶を返してくれる。

でも、その直後にあたしはやっぱり高桐先生が気になって、こっそりそこに目を遣ってみると…



「おはよー高桐ぃー」

「おはよ。っつか高桐“先生”だろ」

「先生おはよー!」

「おー、おはよう」


「…」



青天の空の下で。

眩しそうに目を細めた高桐先生が、笑顔で皆と挨拶を交わしていた…。