高桐先生はビターが嫌い。

唯香さんはそう言うと、「ところで」とあたしのすぐ近くまで来る。

そしてあたしと同じようにその場にしゃがみ込むと、あたしの顔を覗きながら、言った。



「…奈央ちゃんは何してるの?」

「え、」

「なんか探し物?」

「!」



そう言うと、唯香さんは辺りをキョロキョロさせる。

何だったらあたしも一緒に探そうか?と。

その言葉に、あたしはつい「いいんですか!?」と言いそうになってしまう…。

…けど、慌ててその言葉を飲み込んだ。

唯香さんは後藤先生に会いに来たんだから。

あたしの探し物を一緒に探しに来てくれたわけじゃない。

だからあたしは、そんな唯香さんに言った。



「あ、ありがとうございます。けど大丈夫ですよ。きっとすぐ見つかると思うんで」

「そう?じゃあ気をつけてね、もう暗いから」

「ハイ。ありがとうございます」



…唯香さん。見た目もカワイイ人なのに、中身までカワイイ…というか素敵な人だなんて。

あたしもああいう大人になりたい…。

しかし、あたしがそう思っていると…



「…あ、そうだ。奈央ちゃん、」

「?」



不意に、その場からまた立ち上がった唯香さんが。

その時何かを思い出したように、あたしに言った。



「陽ちゃんのことなんだけど」

「高桐先生の…?何ですか?」

「陽ちゃんと奈央ちゃんって、最近夕飯一緒に食べてるんだって?」

「!」



唯香さんはふとあたしにそう問いかけると、あたしの方を見遣る。

そのいきなりの言葉にあたしは少しビックリするけど…でも、唯香さんは学校の関係者じゃないし、とその言葉に頷いて…。

だけど。あたしが頷いたその瞬間。

唯香さんが、あたしに言った。



「あ、だったらこれから気をつけた方がいいよ。知らなかったと思うけど、陽ちゃんってトマト嫌いだから」

「!!…え、」