高桐先生はビターが嫌い。


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「平気?」

「え、何がですか?」


平日の夜。

また今日も、いつもみたいに高桐先生と夕飯を一緒に食べる。

今日のメニューは焼きそば。

因みにこの前リクエスト通りに作ったグラタンも、高桐先生に好評だった。

あたしが高桐先生の突然の問いかけに首を傾げると、高桐先生が続ける。



「や、だって…前にも聞いたけど、最近市川さんと…話してる姿見ないからさ」



大丈夫かなぁと思って。

高桐先生は本当に心配そうにそう言うと、焼きそばを食べる手を止めてあたしを見る。

…本当に心配してくれてるんだな。

あたしはそんな高桐先生に少し笑うと、言った。



「それは、前にも大丈夫って言ったじゃないですか」

「いや、でもさすがにこう…何日も続けてとなると…」

「…」

「気にせずにはいられないじゃん…教師として」



高桐先生はそう言って、あたしから視線を逸らして少しうつ向くけど…。

だけど本当に心配がないあたしも、焼きそばを食べる手を止めて言った。



「…それは、わけがあったからなんですよ」

「?…わけって、」

「高桐先生、言ってたじゃないですか。遠足で遊園地に行ってた時、お店の中で」



…遊園地のお店にて…。

お互いの気持ちを改めて知って、じゃあ卒業後に付き合おうか、と予定を立てていたあたし達。

だけどその話をした直後、高桐先生が言った。



「…あ、そういえば、もう一つ気になってて…聞こうと思ってたことがあるんだけど」

「?…何ですか?」

「あの、市川さんの好きな人って…誰だか知ってる?」

「!」