高桐先生はビターが嫌い。


そう思いながら、「もしかして、既に高桐くんがあたしの本当の年齢を見破っていたり…?」と、

独りぐるぐると頭を悩ませていると、そんなあたしの様子に気がついたらしい後藤くんが言う。



「…あれ?高校生…違った?」

「い、いえ…当たってます。けど何で…」

「ああ。だって、あれ。あの窓際にかかってんの、高校の制服でしょ?」

「…!?」



後藤くんはそう言うと、部屋の奥にハンガーにかけられてあるあたしの制服を指差す。

…今日、クリーニングに出しに行こうと思っていた制服。

あたしはその存在にやっと気がつくと、声にならない声を上げた。



「~っ!?」

「ははっ、どしたの」

「や、いや、見られてたんだなぁって」

「あ、ごめんね。俺そういうの見ちゃう人だから」



陽太には「その癖直せよ」って言われてるんだけどね。

後藤くんはそう言うと、無邪気に、少年のように笑う。

けど、その言葉にあたしは少し安堵した。

だって…それってつまり、高桐くんにはまだ見られていない可能性が高いから。


しかし。

あたしがそう思っていると、後藤くんが言う。



「っつかさ、あの制服って、東高の制服じゃんね」

「…そうです。あたし東高校に通ってるんで」

「あ、やっぱり?実は俺達、その東高校に春から新米教師として働くことになってんだよー」

「!?」