…………


「ふあ…」



それからは特に何の収穫もなく、高桐先生を含んだ3人が教室に戻り、真面目に数学の宿題を開始した。

あたしはもちろん教室の中に入るわけにもいかず、廊下で耳を澄ませながら3人が出てくるのをじっと待つ。

でも、待つことはヒマすぎて…スマホを弄っていても、時計を見る度に5分程度しか経過していない状況を繰り返してしまう。

…いつになったら出てくるの…。

そんなことを思いながら、欠伸をしたりストレッチをしたりしていると…



「じゃあ、次で最後の問題ね」

「!」



不意に教室の中から、そんな高桐の声が聞こえてきて…。

…もしかして、それが終わると出てくる?

そう思ったあたしは、咄嗟に隣の教室に移動して、身を隠した。

中にいる3人に聞こえないように、そっと歩きながら。

そして、そのまままた待つこと数分後…。



「…!」



思わず寝そうになっていたら、その時、隣の教室からガタガタと物音が聞こえてきて、あたしは再び耳を澄ませた。

すると隣からは、教室のドアを開ける音と、「ありがとうございました」等の市川や日向の声が聞こえてきて…。

やっと終わった!

それに気が付いたあたしは、すぐにその場から立ち上がって、廊下に誰もいなくなったのを見計らってから教室を後にした。



「…、」



2人には気づかれないように、離れた場所から一人で尾行する。

でも会話が聞こえてこなくて、バレないように…少しずつ距離を縮めてみる。

とにかく2人の会話を聞いてみたい。

あんなに嫌がらせに張り切っていた市川が、今じゃ何故かその日向とこんなに仲良くしているから。

だから、会話を聞いていれば…何かがわかるはず。

そう思って耳を澄ませていると…