すんすんと鼻をすすりながら、教室を出た。
ここで時間を潰す理由は無くなってしまった。

あぁ……惨めだ。

胃がキリキリと痛み出す。
私の大好きな彼氏は、私の大嫌いな女と帰るらしい。
なんて忌々しいことだろう。

この「大嫌いな女」というのは、浩介が所属している男子バスケ部の、マネージャー松本さんのことだ。
ムカつくぐらい非の打ち所がない子で、そして多分……いや、絶対、浩介に好意を持っている。

私は恐れているのかもしれない。いつかあの子に奪われる、そんな気がして。