30歳 独身 過去に戻って人生変わりました!?

「はっぴばーすでー!とぅ〜ゆ〜
はっぴばーすでー!とぅ〜ゆ〜
はっぴばーすでー!でぃあ、め〜ぐ〜!
はっぴばーすでー とぅ〜ゆ〜!」



「おめでと〜笑笑」
「あ、ありがとう...」
ははっ...無愛想に笑う私は大山 芽紅。

「それにしても早いね!もう30なのか〜」
くっ。それを言うな...。
「あれ?結婚してたっけ?」
「...まだですけど...」
小声で呟く。
「あはは!まぁこれからだって!」
大学からの友達、美沙に背中をバン!と叩かれそのまま前にあったホールケーキに手をついてしまう。

ベチャッ

「あ...。」
「め、めぐうううう!!ごめん!ほんとごめん!」
「いや、私は手だけだから...でもケーキが...」
「今すぐ買ってきます!」
美沙は勢いよく外に飛び出していった。

美沙は本当に優しいと思う。
頭もいいし、ノリもいい。だから周りの人皆にモテる。
だから...だからお金持ちのイケメンと結婚しちゃうんだ...。

「もういい!私は仕事が恋人なんだぁぁあ!!今日はいっぱい飲んでやる!くそおおおお!」







「ちょ、芽紅大丈夫ー?」
「だぁ〜いろ〜ぶ〜えへへ〜美沙はやさし〜なあ〜」
「もー、じゃあ約束通り家まで送ったからね!ちゃんと布団で寝るんだよ!?」
「ふぁ〜い」

結局飲みすぎた私は美沙にまたまた迷惑をかけてしまった。
30かぁ〜また高校からやり直したいな〜そしたら次はイケメンゲットして美沙に負けないぐらい幸せになるのにな〜。
ま、ありえない話だけど。




「めぐー!!?」
夢の中かもしれない。一人暮らしの私にはありえない、お母さんの声が聞こえるような気がする。

ドンドンドン

懐かしいな〜お母さんが階段を上る音がする。
「めぐ!ドア開けるよ!」
こんなにもはっきりと...

ドサッ!

「いっt...」
「いつまで寝てるの!」
お母さんに布団をガバッと取られ、私は呆然としていた。
「何ぼーっとしてるの!今日は高校の入学式でしょ!遅れたらどうするの!早くご飯食べに下に来なさいよ!?」

妙に現実っぽい夢...。
いや、現実......?

ぐるぐるした頭のまま階段を降りる。
顔を洗いに洗面台へ行き、鏡を見て確信した。
「高校生の私だ...」
肌が若い。綺麗。髪がつやつや。
若くなった私は興奮が収まらない。

なぜ過去に戻ってしまったのか謎だし
不安もあったけれど、そんなの飛んでいってしまった。

うきうきした足取りで家を出る。
近所の犬。よく見るおばさん。
懐かしい公園や神社や通学路!

見慣れた門が、思っていたより立派に見える。
軽やかな足取りで門をくぐる。
もし、私が本当にそのまんま過去にタイムスリップしたのなら...クラスは...
「やっぱり2組!」

教室に入ると、自分が過去に来たのだと再度確認できる。
この中にいる一人一人との思い出が、昨日のことのように思い出される。

「よ!」
私よりも背の高い男子が、横から覗き込むようにして私に声をかける。
「そんな、ドアに突っ立てたら通れないだろー」
な?と、その男は私に向かってニコッとした。

ドキン


「せ、星矢...」

「え、お前と俺どっかで会ったっけ!?なんで俺の名前...」
「あ...。いや!さっき男子が貴方のことを星矢って呼んでたから!!」
あまり上手ではない嘘をつき、急いで席に着く。

星矢...。
私と星矢は仲が良かった。それは、周りからもからかわれるほどに。
お互い、両思いだと知っていた。それでも残り1cmの距離を埋めることができずに、進展のないまま卒業をしてしまった。


今の私ならー。
過去を...変えられる...。
星矢に、ちゃんと思いを伝えて、後悔をなくしたい!


もう一度、星矢の方を見る。
目が合って、2度目のニコッと爽やかな笑顔を向けてくれた。