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この道は見覚えがある。
そう思って歩き進めるのに、途中で気づくのだ。
「また、違う…」
この先には、先生がよく行っていた本屋があるはずなのに、大きな道路が川のように横たわっているだけだった。
雨霧に霞んだ景色の奥に鉄塔が見える。
明滅する航空障害灯。
見たことがあるように思うけれど、きっとまた同じことの繰り返しだろう。
決してたどり着けない、夢の中の風景。
梨佳は肩を落とし、家路についた。
雨で湿った制服を掛け、スマホを見ると、由紀から着信とメールがひっきりなしに入っている。
内容を確認することもなく、吸い込まれるように、梨佳はベッドに倒れ込む。
歩き疲れたのと、精神的な疲労感。
――会いたい……
会いたいのに、会えない……
せめて、夢の中でだけでもいいから会いたいと、瞳を閉じる。
あなたの姿が見たいと、
声が聞きたいと、
なのに……
この日を境に、梨佳は夢を見なくなった。


