20時半。
着いたのは、高原リゾート地の高級ホテル。
「どういう事?」
付き合ってもいないのに、ここはあり得ない。
軽く睨む私に、晴生くんは、
「ここのフレンチがとってもおいしいんです。」
とさらりと言う。
そんな風に言われると、あらぬ事を想像した私が悪いみたいじゃない。
晴生くんは、私の手を取って歩き出した。
「晴生くん、私、普段着なんだけど…。
ホテルのフレンチレストランに行く格好じゃ
ないよ。」
私が言うと、
「気にしなくて、大丈夫ですけど、気に
なります?」
と晴生くんが言うので、私はコクコクと頷く。
ホテル内のショップも閉店している時刻だ。
晴生くんは、レストランではなく、フロントに向かった。
「スイート1室。
あと、彼女に合うドレスを1着、部屋に用意
していただけますか?
色やデザインはお任せします。」
晴生くんは、サラサラと名前などを宿泊カードに記入していく。
聞きたい事はたくさんあるが、ホテルの人の前では聞きづらい。
手続きを終え、晴生くんはカードキーを手に、私の手を取って、エレベーターに向かう。



