18時。 「里奈さん、帰りましょ?」 晴生くんが堂々と誘ってくる。 お昼の会議室ならまだしも、社員が大勢いるオフィスでは、やめてほしい。 ほら、女子社員の視線の矢が体中に刺さって、痛い。 「先に行ってて。」 「えぇ〜!? なんでですか? 一緒に行きましょうよ。」 この子は、決して空気を読めない子じゃない。 これは、絶対、あえて読んだ空気を無視してるんだ。 はた迷惑な… これ以上、騒がれると、返って傷跡が大きくなると判断して、私はさっさと席を立った。