私は帰宅すると、晴生くんを

「どうぞ。」

と招き入れた。

本当に狭い我が家だが、晴生くんは、

「お邪魔します。」

とにこにこしながら、上がる。

緊張で固くなる私の肩を抱いて、

「大丈夫。
俺がついてます。
必ず、今日で終わりにさせますよ。」

晴生くんが優しく微笑んでいるのを見ると、胸の中に温かな勇気が湧いてくる気がした。


私がお茶の用意をしていると、玄関のチャイムが鳴った。

「はい。」

私が、玄関を開けると、課長が入ってきた。

が、玄関の晴生くんの靴を見て、訝しげな表情を浮かべた。

「ん?
誰か来てるのか?」