「私の歳になれば、誰だってできるよ。
同級生の大半は、すでに主婦なんだから、
きっともっと手際よく上手に作るよ。」
「里奈さんは、結婚したら、仕事続けたい?」
「んー、
考えたこともない。
結婚なんて、今まで、あり得ないと思ってた
から。」
私が、視線を下に落とすと、晴生くんは真剣な声で言った。
「里奈さんは、絶対いいお嫁さんになるよ。
できれば、俺のお嫁さんになってほしいけど、
もし、そうじゃなかったとしても、きっと
いい奥さんで、いいお母さんになると思うな。」
私は、驚いて顔を上げた。
「なんで?」
「褒め上手だから。
里奈さんがそばにいて、いつも褒めて
励ましてくれたら、俺ならどんな辛い仕事でも
がんばれる。
子供だって、きっといろんな事、がんばって
乗り越えられると思う。」
嬉しい…
そんな風に、誰かに褒めてもらえるなんて、今までなかった。



