「………課長だけが悪いわけじゃないの。
私が、離れられなかったんだから。」

「その間、1度も別れ話はしなかったの?」

「したよ。
したけど、課長に好きって言われると、
やっぱり別れられなくて。
奥さんに申し訳ないと思いながら、自分でも
どうしようもなくて…」

「里奈さんも辛かったんだね。
俺でよければ聞くから、最初から話して。」

私の肩を抱くその手が温かくて、私は8年間溜め込んだものを、ポツリ、ポツリと話し始めた。