4月4日 木曜日 18時。

「里奈さん、今日、どこ行きます?」

晴生くんは、今日も太陽のようにキラキラした笑顔で話し掛けてくる。

「行きません。」

私が冷たく言うと、

「デートですか?」

とまた聞く。

「違います。」

と答えると、

「じゃあ、里奈さんの今日の晩ご飯は
何ですか?」

「まだ、決めてません。」

「自炊ですか?
食べに行ってもいいですか?」

「困ります。」

「じゃあ、食べに行きましょう。
イタリアンなんてどうです?
居酒屋とかでもいいですよ。
俺、中学生じゃないから、酒も飲めるん
ですよ。
知ってました?」

「知ってます。」

「それとも、うちに来ます?
俺の手料理でよければ、ご馳走しますよ?」

「………」

私は、思わず、晴生くんをまじまじと見つめてしまった。

「料理なんて、できるの?」

「はい!
18から自活してるので、それなりには。
じゃあ、決まり!
さ、帰りましょう!」

「え!?」

行くと言った覚えはないのに、彼の中では行く事に決定したようだ。

晴生くんは私の鞄を持ち、私の手を引いてエレベーターホールに連れて行く。

下向きのボタンを押すと、タイミングよくエレベーターのドアが開いた。

そのまま、引きずられるようにしてエレベーターに乗り込む。