「里奈って、案外バカ?」

「は!?」

「昨日の飲み会は、宇野係長が、里奈を口説く
ために開いたんだよ。」

「はぁ?
そんなわけないでしょ。」

「里奈は気づいてないけど、里奈は、男性
社員の中で今、人気急上昇中なんだよ。
これから、こういう事は何度もある。」

「うそうそ。
私、もう30だよ。
若くてかわいい子がいっぱいいるのに、あえて
おばさんを狙うなんて事、するわけないよ。」

「お願いだから、俺を不安にさせないで。
俺は、里奈を幸せにしたくて、笑顔を
取り戻させたいって、思ってた。
でも、会社で里奈の笑顔が増えれば増える
ほど、他の男たちが里奈を見る目が変わって
くるんだ。
綺麗でかわいくて、でも、チャラチャラして
なくて落ち着いてて、しかも、もう30だから、
結婚に焦ってるかも…本気で落としに
かかれば、ふらっとくるんじゃないかって
思われてる。
俺は、里奈は俺のものって、みんなに
言いたい。」