私はそこに座った。
目の端に黄色い声に囲まれる晴生の姿が映る。
まぁ、仕方ないよね。
4月の配属当初から、ずっと狙ってたんでしょうから。
頭では分かってはいるが、自分の好きな人を他の女性達がキャーキャー取り囲むのは、あまり気持ちのいいものではない。
「野原さん、ビールでいいですか?」
宇野係長が、私のグラスにお酌してくれようとする。
「あ、いえ、私が!」
慌てて宇野係長にお酌しようとビール瓶に手を伸ばすが、瓶を上に掲げられてしまい、手が届かない。
「いいんです、そんな事。
女性だからお酌しなきゃいけないなんて、
変だと思いません?
さ、どうぞ。」
そう言って、私の手にグラスを持たせると、ビールをなみなみと注いだ。
「ありがとうございます。」



