「あぁ、里奈が俺の腕の中にいる。」

晴生が嬉しそうに呟いた。

私も腕を晴生の背中に回してぎゅっとする。

でも、時刻は9時を過ぎている。

「晴生、そろそろ起きないと。
チェックアウトの時刻だよ。」

「ヤダ。」

「ふふっ
ヤダって…
起きて。
この後、どうするの?
観光してく?
まっすぐ、お家に帰る?」

「もう一泊する。」

「!
それは、贅沢すぎるよ。
帰ろ?
ケーキ焼いてあげるから、もう一回、晴生の
お誕生日会しよ。」

「ケーキ!?」

「うん。
昨日の食事もおいしかったけど、お誕生日
ケーキはなかったでしょ?」

「帰る!」