『いつでも待ってるからな…』


『………うん…』

この時、由夏は何故か寂しそうな顔をしていたんだ。

顔を覗きこみながら訊ねる。

『どした?』



『………ううん。
あっ。そう言えば新しいアパートはどう?やっていけそう?
隣の住人、物凄い恐いオバチャンって聞いてたんでしょ?』

顔を赤らめながら、彼女は俺と目線を合わせる。


その少し潤んだ、大きい輝いている瞳に………
思わず息をのむ。

この瞳に弱いんだな、俺。何年経っても、叶わない。

『あ…ああ。それがさ。
恐いオバサンじゃなかった。』


言葉に詰まる自分が
情けない………