「私と貴也さんは…だいぶ前から心が離れていたのよ。
ってか、私が冷めちゃったのかな?」
由夏さんは少し寂しそうな顔をして
ミルクを入れたコーヒーをかき混ぜながら言った。
「……冷め……た…?」
「うん。
5年経っても私達は何も変わらない
いつの間にか…そんな関係に嫌気が差していたの。
彼は優しすぎるのね。」
由夏さんの思いもよらない言葉。
だけど、分かる…
由夏さんは梅田さんの事
本当に愛してたんだって。
きっと、由夏さんは
ずっと待っていたんだ。
梅田さんからのプロポーズの言葉を。
―――5年間付き合ってるんだもんね。
無理矢理にでも、
「行くな…」って引き留めてほしかったんだよね。
由夏さんは視線をティーカップからベランダへと移し、
話を続ける。
「そんな時だった…。
貴也さんが私に来てくれたのは。
この時思ったの………
もしかしたら、私達やり直せるかもしれないって。
あと1年、頑張れるかもって。
でもね?あと一歩遅かった…
一度離れてしまった心は、もう近づかなくて………
だからね、昨日…ちゃんとお別れしようと…思って……
貴也さんのためにも…」
由夏さんの瞳からは、
涙が溢れ落ちる………


