その時の俺の心は、
とても不安定で━━━…
自分のマイナスな感情のせいで、
周りに刺々しい態度を
とるようになっていた。
目の前の鈴に無理矢理キス―――
こんな感じに、人の気持ちなんて
考えられなかった。
本当に最低な自分。
あんなに嫌がってたのに。
鈴が立ち去り、我に帰った俺は
部屋に戻っても――――
ただ俺はイライラしていた。
由夏へ電話をかける事が出来たのは…
次の日だった。
『…悪い…メモリーカードなんだけどさ
聞く前にに壊れちゃって………
どんなメッセージが入ってたの?』
―――嘘をついた。
『本当に聞いてないの…?』
『ああ。』
彼女はメモリーカードに
どんなメッセージを録音したのか
教えてくれなかったのだが、
涙声で『良かった………』とだけ声を漏らした。
*****
由夏、5年間…愛した女。
あんな終わり方だけは嫌だった。
『…………貴…也…さん……』
その時の
由夏の顔が忘れられない。