そっと、キッチンに近づいてみたら。 シンクの上に両手をついて、肩を震わせながら 静かに涙を流している姿。 ポタポタッ………と シンクの中に涙が落ちる――― 「………て?――――――の?」 そのあまりにも小さな声は 俺には届かなくて。 「ん?」 俺は首を傾げて訊ねる。 「どうして………。来てくれたの…?」 震えた声で彼女はそう言った。