急に大人しくなった彼女。 俺は、振り返った彼女を 引き寄せ、抱き締めたから 何も言えなくなってしまったよう。 『うそ………』 『嘘じゃねぇって。 好きだからに決まってんだろ。』 俺は大きなため息をついて 由夏から離れた。 『……私、彼氏いるのに―――』 そう言って、顔を覆う由夏。 『知ってる。だから、 今言ってスッキリしたよ。これで諦めがつきそうだ。 悪い、もうこんな事しないから。』 俺は、自分の席に行き、忘れモノの 制服を手に取った。 『どうして諦めちゃうのよ。』