私も梅田さんの部屋に急ぐ。
梅田さんの部屋へと入る。
いつ見ても綺麗に片付いている玄関。
今はもう、カップ麺だらけのゴミ袋はない。
廊下を進み、
リビングの曇りガラスが付いたドアを開ける。
「涼し…お邪魔します…」
私を見て微笑む梅田さん。
手には2人が渡した
オレンジの棒アイス。
「鈴が来たー!」
「ちゃんとアイス渡したよ〜?」
「………うん。」
梅田さんの部屋は、
全体的に焦げ茶色の家具で統一されていて。
テレビ横に掛けられている、シンプルなカレンダー。
今日の日付には
“13時30分 空港”
と書かれていて。
なのに、現在の時刻は
14時ちょっと過ぎ。
私の予想は確信に変わった。
「梅田さん…彼女は…」
私の言葉に、
深いため息をついてから
こう言った。
「何か、来れないって。
有名なバレエの振り付け師がイギリスに来るんだって。
まぁ、こんな事はいつもの事だし?なんともないよ。」
テーブルの上に広げられていたのは
一冊のバレエ雑誌。
「そんな………」


