多実ちゃんを
追いかけなきゃ、いけない。
って分かってるんだけど。
━━━なかなか、
最初の一歩が踏み出せない。
「お前、何ボーっと突っ立ってるんだよ!早く追いかけるんだよ!」
『鈴なんて、大ッ嫌い!』
あんな多実ちゃん、
初めて見た。
あれが、多実ちゃんの
本心―――?
「…………でも…」
「鈴が迎えに行かなきゃ…誰が迎えに行くんだよ…」
と、
私の左手を掴み、走り出す梅田さん。
「ちょ………っと……!」
私の繋がれた左手と、
梅田さんの右手。
私の顔は一瞬にして
熱くなり━━━…
****
幼稚園の門をくぐり、
道路へ出た。
夏の太陽の光に思わず
目が細まってしまう。
汗ばんでくる体。
「多実ちゃん…いな…いよ?」
梅田さんを見上げると、
眉をひそめ、険しい顔。
額はうっすら汗ばんでいた。
ドキドキ………
胸がドキドキする。
こんな時に━━━!
思わず顔を背ける私。
その時。
「…まりなちゃんのの家に行ったんだっ!」


