「子どもはたくさん転んで成長するんです。
俺の身近な人にバレエしてる人いますが。
その人も、練習の時に沢山転んで…生傷が堪えることはありません。
転んで、成長してるんです。
まりなちゃんのその程度の傷なら、発表会に支障ないと思いますよ。」
この時の梅田さんの横顔が、とても寂しげに見えた。
やっぱり、梅田さんは大人だ――
また、助けられちゃったよ。
私…
このまま
たろちゃんと多実ちゃんと
一緒にいていいのかな?
どうしていいか、
分からないよ━━━…
「この件は先生にまかせるわ。ちゃんと解決してくださいよね?」
まりなちゃんママは
梅田さんを横目で見ていて。
「もちろんです。」
梅田さんの真っ直ぐな目。
「では、今日の所は帰りますわ。わざわざ、すみませんね。行くわよ、まりな。」
そう言って、まりなちゃんに手を差し出すママ。
「うん、ママ♪」
ガラガラガラ………
教室に残ったのは
私達3人と、梅田さん。
「多実ちゃん…ちゃんと謝らなきゃダメじゃん。
まりなちゃん…怪我しちゃったんだよ?」


