「じゃあ、また明日な。」
春馬くんの車で、家まで送ってもらった。
「うん…また明日。」
なんだか…別れ難いよ。
まだ一緒にいたい…なんて思う私は、わがままなのかな。
「どうかした?ナツ。」
また明日、と言いながらちっとも車を降りようとしない私を、春馬くんが運転席から見つめてくる。
「あ…ご、ごめん。すぐ降りるねっ…」
そんな風に見つめられると、こんなやましい気持ちがバレてしまいそうで…
助手席のドアを開けようと、手を伸ばした時だった。
その手を、春馬くんの手によって引っ張られ…
運転席から、春馬くんにぎゅっと抱きしめられた。
「は…るまくん…」
「…同じって思っていいの?」
抱きしめられたまま、問いかけられる。
「…同じって………何が?」
私もぎゅっと抱きしめ返して、聞き返す。
「…ナツと、俺の気持ち。同じ?まだ帰したくないって思ってるんですけど…」
嬉しい。
同じ気持ちなことも、私が思ってることがちゃんと伝わったことも。
「でもボク、一応大人なんで。これでも我慢してるんですよ?」
妙に他人行儀な春馬くんに、思わず笑ってしまう。
「ふふ。エライエライ。」
「ナツ?俺のことバカにしてるでしょ。」
ちょっとふてくされた春馬くんも…かわいい。
「そんなナツには…お仕置きだな。」
「え?………んんっ…!」
春馬くんからの、お仕置きのキス。
運転席から無理に抱きしめられながらのキスは、いつもと違う感じ。
運転席と助手席の、この微妙な距離がもどかしい。
名残惜しく唇が離れ、春馬くんの顔を見た。
「…お仕置きにならないよ。」
そう呟いた私から、今度はキス。
お仕置き、なんて言いながら…
こんな優しいキス、するんだもん。
もっともっと…離れたくなくなっちゃう。
それが……お仕置き?
…なんてね。

