「初めまして、須賀と申します。」




春馬くんは動じず、サッと立ち上がってお辞儀をした。




「まあまあ、そんな固くならないで座ってください。わたしは今日、あなたにお願いがあって、わざわざ単身赴任先から帰ってきたんですから。」




お願い…って………




別れろって言われちゃうのかな。




久しぶりにお父さんに会えたのに、私は怖くてお父さんから目をそらす。




ところが。




「先生。これからも娘をどうかよろしくお願いします。」




そう言って、お父さんは春馬くんに向かって頭を下げた。




続いてお母さんも頭を下げる。




「これからも、夏海を支えてやってください。」




予想外の出来事に、困惑する春馬くんと私。




「お父さん、お母さん…どうか頭を上げてください。僕、そんな風にして頂くような人間ではないのに…」




春馬くんが申し訳なさそうに呟くと、お父さんが笑い出した。




「ははは!ま、親が親なら、子も子だって話だ!!」




「………え?どういうこと?」




愉快に笑うお父さんの隣で、お母さんが私を見て言った。




「お父さんとお母さんもね、昔…先生と生徒だったのよ?」






え…







えええええええええええっ!?